桜花学園はなぜ強い? 高校女子バスケ界の頂点、井上監督の指導法

桜花学園井上監督の指導法

2014年の高校総体女子バスケットボールは、桜花学園の優勝に終わった。3年連続20度目の優勝を果たしたその強さは全国のバスケットボールファンの知るところだが、ここでは高校女子バスケ界の女王である桜花学園を作り上げた、井上眞一コーチの哲学に触れてみよう。

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桜花学園の強さを生み出す指導法


強さを生み出すディフェンス



この動画は桜花学園の指導に密着したドキュメンタリーだ。当たり障りのない取材内容ではなく、井上監督のコーチングの実際や考え方に触れられる貴重な映像になっている。まずはこの映像を観てほしい。

この映像の注目すべきは3点だ。まず一つは井上監督のコーチングフィロソフィーとして、「コンタクトの強いディフェンス」を挙げているところ。

バスケットボールは身体のぶつかり合いがどうしても必要で、スキルがあってもパワーで負けたら全く意味がない。小さくてもスターがいなくても、身体を張った激しいディフェンスが機能し、選手の悪い部分を出さずに良いところを出せば勝てる。


食事とウエイトトレーニングから体を作っています。体重がないと戦えない、下手くそでもいいからとにかくパワーを付けるというのが私の考えです。食事はとにかく量をとらせます。

引用ページ:桜花学園の強さを生み出す『体の重さ』 「代表養成チーム」の世界を意識した育成


中学校で全国6連覇、高校で5連覇を果たしてから一度壁にぶつかり、ディフェンス(ディナイ)の重要性に気づいたということだ。チャンピオンチームの真似事をしても結果は同じにならないが、日本のトップレベルの指導者が指導方針のコアとして持っている部分を参考にすることはとても大切だ。

井上監督は勉強を積んだうえで、バスケットボールはこういうスポーツだという考えを自信をもって選手たちに伝えている。「この目的の練習だよとわからせて入った方が効率がいい」と監督自身も言っているが、コーチが何を見ているかを選手たちに理解させることで、次のポイントである「細かな徹底した指導」を実現していることも見逃せない。

細かく徹底した指導

というのも多くのバスケ経験者は「ディフェンスが大事」だと頭でわかってはいるだろうが、実際にコート上でそれを徹底できている選手は少ないものだ。井上監督は自身の哲学に基づいて、細かい部分まで徹底して具体的に指導する。

ボールを移動するときのカバーの仕方、チェストパスの際のつま先とかかとの使い方、重心移動の順番、コンタクト時の力の入れ方まで、ここまで丁寧にチェックするのかというくらい指導する。何をどうするという具体的な動作を口にするので選手たちもわかりやすいだろう。また井上監督はケガをさせないための正しい動き方を教えたいという意識から、

女子の指導者の中では私が一番尊敬している監督だ。
とにかく細かい!
これが井上先生を語る上で真っ先に出てくる印象だ。

(中略)

「ケガをしないプレー」
「ケガをしない身体の使い方」
を常に意識していることだ。

引用ページ:懐かしい声、、、ーふきあげ接骨院

というように、一つ一つの動作に気を配るようだ。選手の腰の高さをチェックするなど、井上監督のキャリアからくる「目利き」の能力があっての細かな指導だと思うが、ただ「ディナイしろ!」というのではなく、手をグーにしたりパーにしたりというところまで教えていく、身につけていくという姿勢は重要だ。

人間性への洞察

3つめは選手の人間性に気を配って指導しているということ。もっとも特徴的なのは「社会性や礼儀を教え込んで、やんちゃをいい子にすると良さを消してしまう。渡嘉敷の場合は野性味を消さないように気をつけた」という部分だろう。怒鳴りつけていうことを聞かせようとするコーチやプレーヤーは多くいるが、こうした人の良さを生かそうとすることで結果を出す人がいることも覚えておくといい。

井上監督が大学バスケ部をしごきに耐えかねてやめた経験から、無駄な上下関係や効率の悪い練習は一切ないようなチーム作りを目指したのは有名な話だ。「いいプレーヤーになればいい人間になる」という発言があるように、相手の立場にたってプライドを捨て、選手の個性を良い方向に生かし、花開かせてあげようとする姿勢が垣間見える。

参考ページ:井上真一先生(バスケ)の講演会から考えたコーチングとは

冒頭のシーンでわかるように、選手は監督にため口でしゃべったりするようだ。だが選手が天狗になったりしたと判断したときは激しく怒る面も持つ。桜花学園出身のスター、渡嘉敷選手にも「今日の敗戦はオマエのせいだぞ」と厳しく告げる場面もあったようだ。

「オマエが何点取ったか知らないけど、スーパースター気取りするなよ」  渡嘉敷は心の中で「してないよ!」と叫んだが、決して口には出さなかった。ただただ泣きながら受話器の向こうの監督の声に耳を傾けていた。

引用ページ:星に願いを : 渡嘉敷来夢(JXサンフラワーズ)<前編>「バスケ人生を変えた恩師との出会い」


このような指導の原則は、選手の関係性やコーチの哲学と深く関連するために、一概にこれが最高のやり方だと断言できるものではない。だが55回の全国制覇という結果を出したコーチの考え方の中には、なるほどと思わされるような発見があるはずだ。
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