NO.1バスケスキルコーチ、ギャノン・ベイカーのクリニックの感想

ギャノン・ベイカークリニック

この記事は2014年5月6日に東京成徳大学中学校で開かれた、エルトラックさん主催のギャノン・ベイカークリニックのレポートだ。詳しいドリルの内容や映像を紹介していないけれど、プロのパーソナル・スキルコーチがどんな指導をしていたのかをまとめておこう。参加したくても出来なかった人もいると思うが、他の参加者からの情報もあわせて参照してもらえればいい。

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ギャノン・ベイカークリニックの感想


ギャノン・ベイカーって誰?

ギャノン・ベイカーはウェブ上のページから知る限り、多くのNBA選手にトレーニングを提供したり、共にキャンプを開催しているアメリカのパーソナル・スキルコーチだ。有名どころで親交があるのはコービー、レブロン、クリス・ポール、ハーデン、グラント・ヒルなどなど。特にアマレ・スタウドマイヤーには3年間の専属契約を結んでいたこともあり、世界でもトップレベルのバスケットボールのスキルコーチだといえそうだ。

多くの動画がyoutubeに公開されている。下に挙げたのはそのうちの一つだ。同じことを実際にやろうとしたらなかなか難しいかもしれない。



このギャノン・ベイカーをG・W期間中に招いてのクリニックが、大阪・愛知・東京で行われた。主催のエルトラックはバスケットボールの家庭教師を運営している会社。逐次通訳をしてくれるスタッフの方もいて、ギャノン・ベイカーの指導の空気をしっかりと感じることが出来た。スタッフの運営・指導も筋が通った印象で、機会があればまたぜひ参加したいと思わせてくれた。

参考ページ:バスケットボールの家庭教師 エルトラック

ギャノン・ベイカーが重視したこと

撮影が禁止だったこともあって、ドリルの内容をそのまま説明するわけにはいかない。ざっくりとギャノン・ベイカーがどのようなことを重視してクリニックを進めたかに触れよう。

まず、シュートやパスではなくドリブルのドリルがほとんどを占めていた。ハンドリングのドリル。小学5年生以上の育成年代のクリニックだったので、即座の習得ができるといわれているこの時期に、トップレベルの基礎的なハンドリングの指導が受けられるのは非常に有意義なことに思えた。

クロスオーバー、レッグスルー、バックチェンジの3つが多く目についた。ドリブルの「やり方」や「コツ」を指導したわけではない。ギャノン・ベイカーは直接「こういった意図で指導している」とは言わなかった。私が見たところこれらの「接続」に重きを置いているようだった。

つまり速いレッグスルーを教えることが目的ではなく、レッグスルーのあとにバックチェンジをすぐに「接続」できてしまうような、身体の「安定性」を伴ったドリブル動作を強調しているドリルが多かった。私たちは個人練習でもついつい一つのドリブルの質を高めようとしてしまうが、ギャノン・ベイカーのドリルは連続性のあるものばかりだった。

異なる種類のドリブルをすばやく行うため、身体を安定させ地面をつかみ続ける。ボールをしっかりと長い時間コントロールするために、かなり強いドリブルをつく必要がある。ギャノン・ベイカーは身体の軸が常に安定し、非常に強いドリブルをついているように見えた。常に安定している身体と強いドリブルが、ドリブルスキル上達のポイントのようだった。

「プレイの接続・連続」は目まぐるしく状況が変わるバスケットボールという競技では重要視されるが、攻防の切り替えやパスアンドランなどの指導においては「安定性」をもっと強調する余地があるように思える。例えば安定しない身体動作でパスを行った選手が爆発的な身体能力でランをしても、一応は素早いパスアンドランが成立しているが、パスとランの接続時の安定性を強調した指導ができればもっと効果的なプレイになるはずだ。

次のプレイへの連続性の意識を持てという指導はされるが、次のプレイのために身体を安定させられるような指導はなかなかされない。オフェンスリバウンドに飛び込んで相手ボールになったらすぐ戻れとは言われるが、すぐ戻れるように着地の際に身体を安定させなさいとは言われない。近年ではランニングシュートの着地を両足で行ってすぐに次のプレイに移行できるようにと指導することも増えているようだが、選手を見る上で安定性の視点は持ちたい。

安定性には筋力も重要になり、レブロンがやっている体幹のワークアウトを教えてくれた。時間は4分間と短縮版のようだがハードなものだ。時折いれられるシンプルな筋トレにも身体のコアを刺激する要素があり、多くのトレーニングの中でも体幹トレーニングには力点を置くものだという考えが読み取れた。

参考記事:ボディバランスの強化に、体幹トレーニングのいくつかの方法と効果

ドリルはシンプルなクローズドスキルから、認知・判断が要求されるオープンスキルへ徐々に移っていった。直前までのドリルを生かしたものばかりで、選手自身も1on1のシチュエーションではどのようなスキルが必要か、技術のつながりを理解しやすかったと思う。テニスボールを使ったり、気分転換の遊びの中にもコーディネーショントレーニングの要素を取り入れていたのも実践的だ。

バスケットに取り組む姿勢・モチベーション

クリニック中にギャノン・ベイカーが何度も言っていたのが、情熱を持って一生懸命にプレイすることだ。チームは家族でありお互いに勇気付けることが大事だということ、エネルギーを保つために感情を声や動作で積極的に出していくこと、失敗を恐れず挑戦し笑顔で楽しむこと。これらが大事だと思っていても、練習の中でそれをどのような形で表現していけばいいのかわからない人も多い。こういう姿勢は実際のお手本に生で触れて、その場の空気を感じることが大切になる。

「情熱がなければ人生を台無しにする」という言葉が印象に残った。人生の習慣を作っている段階でコンフォートゾーン(快適な領域)から抜け出す一貫性、一生懸命さを身に着けることが重要だと、4時間のクリニックの中で多くの時間を割いて精神的な構えを伝えていた。

その他に気がついたこと

バスケットボールではプロレスラーのような筋肉は必要ないといわれるが、ギャノン・ベイカーの体つきはかなりがっしりとしていた。それでいて鈍重ではなく、ジャブステップやピボットなどもクイックでブレがない。上半身を鍛えすぎてはいけないというよりも、下半身の強靭さを重視した上で上半身もしっかりと仕上げるべき、と言えるのかもしれない。

ドリブル時に肩甲骨がはっきりと動いていたのも印象的だ。手先だけのドリブルではなく、上肢全体が動いていた。背中から見ると肩甲骨が浮き出て見えるほどで、肩甲骨を柔軟にしてプレイすることはパフォーマンスの向上につながることを更に確信した。

空き時間でギャノン・ベイカーがボールを持ってリングに背を向けた状態から、180度ジャンプで回ってシュートを打っていた。あんな風にシュート練習をする人を初めて見た。巧みなドリブルからの流れるようなシュートというよりも、全身に負荷がかかった状態からすぐに安定感のあるシュートを打つことが大切なのではないか。

ギャノン・ベイカーがやっていたから自分のチームでもやってみよう、と考えるより、どうしてギャノン・ベイカーはこういったメニューを組んだのかと考えることが、バスケットボールという競技を理解するために有効な学び方ではないかと思う。

ドリルを知ったことよりも一つ一つの言葉から、彼のバスケットボール観に触れることができて良かった。例えば「バスケットはスペーシングのスポーツだ」とポロッともらしたような言葉が、自分の理解できないものであったのなら学びのチャンスでもあるし、「スペーシングが大切だという考えの上でドリブルスキルを練習している」ことがわかれば、悪いのはドリブルではなくスペーシングをわきまえないドリブルだと気づくことができる。

言動の端々ににじみ出るものを感じるという点では、生のクリニックが一番だろう。この記事が参加できた方、できなかった方も含めて、何かしらの参考になれば嬉しい。エルトラックの皆さん、どうもありがとうございました。

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